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ガット・カフェ 無伴奏チェロ組曲第一番 に参加しました。

ガット・カフェ 無伴奏チェロ組曲第一番

鈴木秀美氏のガット・カフェに行ってきました。
4月6日は講義と模範演奏、4月7日は一般公募参加者によるマスターコースと盛りだくさんの会でした。
私は都合により6日のみ参加。
以下、私のメモを元に文章に起こしました。間違いがあればご指摘ください。

まずはチェロという楽器について。
昔の資料を見ながらチェロの原型となった楽器の仕組みについて学びました。
そして、バッハ無伴奏チェロ組曲の歴史について。
この曲に関してはバッハ本人の自筆譜はない(バイオリンの無伴奏にはある)ので、アンナ・マグダレーナによる写しを元に様々な解釈があり、今に至っていると。
写譜ではなく印刷として出版された初版は1824年のこと。

その後もチェリストによる版がいくつかあり(あのDotzauerのもあり!)、版でかなり楽譜が違うことに大きな驚きを感じました。

カザルスが最初に見つけた楽譜はグルッツマッヒャー版だそうです。(ここでもエチュードで知っている名前が出てきてうれしくなる^^) 1824年以降も定期的に無伴奏の楽譜は出版されていて、実に24版にも及んでいたようで、カザルス少年がそれまで無名だったバッハの無伴奏チェロ組曲の楽譜を、ある日古本屋で偶然見つけて世に知らしめた・・・のではなく、
無伴奏をエチュードではなく演奏会で演奏するような音楽的な地位にまで引き上げたのが、カザルスなのだそう。

私も含め多くの方が「原典版」として使っているベーレンライターのものは1950年代のものなので、最新版ではないよう。2000年に出版されたベーレンライターセットはある意味奏者に「丸投げ」感はあるものの原典版として良い版なのだそうです。
また同年に出版された、ヴェイスベンガーキルステン・バイスヴェンガー氏(小林 義武氏の奥様)の研究に基づく版は、元々ドイツ語・英語で解説されているのですが、チェロ組曲以外の曲・バッハの曲全体を見て、音型を類推し、決定するという緻密な研究に基づくもので、ベーレンライターセットと対照的だがお勧めとのこと。

音律について。
教会ピッチと室内楽ピッチというのがあるそうです。
鈴木氏のチェロのAは415に合わせているそうです。聴いた瞬間「低いな…」と思ってしまったのはそのせいのようです。
純正律・平均律についての一般的な説明のあと、横田誠三氏の鍵盤調律法「チェンバロ調律法」という本についての言及がありました。
BACHは数字が好きだったので、楽曲の様々なところに暗号が隠されている・・・といったダン・ブラウン著の「ダビンチ・コード」を連想するような楽しいエピソードもありました。

それから、実際に、無伴奏第一番のプレリュードのアナリーゼ。
バスの音色を小節ごとに感じ、バスの下降や和音、転調、臨時記号の意味等について細かく説明してくださり、最後に模範演奏をして下さりました。
クーラントやメヌエットについても、足早に説明され、特にこれらの音型の中に「落語の掛け合い」や「漫才のやりとり」のような部分があると説明されていました。話の流れ的に四番のサラバンドも同じような形で作られているということで、演奏してくださいました。
悪天候の中、4時間にも渡る熱演、心に残りました。

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by morpheus-cello | 2013-04-28 09:34 | Cello