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バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会~2015秋~


会場;ヒビキミュージックサロン リーヴス
大阪(西天満)のビルの1室にあるサロン。梅田から南東に少し行った辺りかな?
グランドピアノが舞台両端に2台あり、その真ん中に奏者用椅子が置かれていて、シンプルなつくりのホールでした。

《第1部》
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第2番
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第3番

《第2部》
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第5番
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番

《第3部》
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第4番
J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第6番

各部の間に20分休憩あり。

以下率直な感想です♪

・豊かな響きが空間を包み込む サロンの規模で聴く無伴奏は実に贅沢だなぁと実感
・開放弦でも、そうでなくても、同じように弦が振動している。つまりビブラートは最小限ながら、豊かな響きが生み出されている。
右手のテクニックと、左手の音程が正確でないとできないことだと思う。もちろん、高音のすごいハイポジ(6番)の響きも素晴らしくて、す~っと身体に溶け込むように聴こえるためか、なんというか神々しさを感じた。
・音のキャラクターのバリエーションが豊か
・総じてチェロが生きているよう。多声部のキャラクターの使い分けや、音符として書かれていないバスも聴こえるので、話をしているように聴こえる。
・引き算の美学:特に4番で何か所か私の使っている楽譜では書かれている音(スラーで繋がっていて大抵引き続き実音で弾く音?)が、敢えて実際には弾かれていないように感じられたが、残響で効果的にその音が聴こえた。

無伴奏チェロ組曲をはじめて生演奏で聴く姉と一緒に行ったのです(色んな人のCDを事前に渡していたけど、全部じっくり聴く時間はなかったようす)。姉は、普段はバレエ音楽(なのでチャイコが多いかな)やピアノ曲(ショパンなど)を聴くことが多いし、チェロも弾かないので、休憩時間の時にざっくりと各組曲の解説をしていて、どの曲が好きかなぁと質問してみたら、意外なことに耳馴染みのある1番や明るい3番よりも、5番が好き!とのこと。
チェロの旧約聖書と言われるバッハの全曲を一日で通して聴ける機会は他にない(とたぶん思う、しかも毎年!)こと、しかも暗譜で、どの演奏をとっても素晴らしいと思えるのはそうないことなどを伝えつつ、第3部の4番、6番は、フィギュアスケートに例えると、後半でトリプルアクセルや4回転サルコー(ないしトウループ)+ダブルアクセルのコンビネーションを跳ぶ位、高い技術に加え、体力も集中力も必要なんだよ~って解説をしたら、渾身の6番の後に、「確かに!すごいよね!!」と同意してくれました。

全曲を一気に約4時間で堪能することができ、しかもこれまでに生演奏で聴いた無伴奏の中で一番心に残る演奏です。
渾身の演奏の後に、会場に生まれたある種の達成感のようなもの、(勿論、奏者への感謝や称賛がメインですけども)に皆さん惜しみない拍手を送っておられました。

まさかのアンコール、マレの「人間の声」でしたでしょうか…。チェロの音色を堪能した素敵な土曜日でした。

by morpheus-cello | 2015-10-25 10:43 | Music-2, classic